新収蔵資料「吉田東洋肖像写真」について

3月13日(金)、新収蔵資料「吉田東洋肖像写真」に関する記者発表が行われました。


(写真1:吉田東洋肖像写真)

この資料は、昨年吉田東洋のご子孫の家から資料館に寄贈されたものです。
東洋の顔写真は、皆さんもどこかで見たことがあるのでは?
あの写真の、世界に1つしかないオリジナル(原板)が発見されたのです!

それに加えて、今回新たに写真史の専門家の方が調査した結果、この写真を撮影したのは中浜万次郎(ジョン万次郎)だという事が分かりました!
これは写真のどこかに万次郎の名前が書いているわけではなく、実物をくわしく観察し、撮影技術を検証したことで発見できた事実です。
土佐藩の幕末史を代表する2大有名人が向かい合って写真を撮ったなんて、すごいことだと思いませんか?大発見ですよね??

そこで記者発表では、「万次郎が撮った」という事実を発見した東京大学史料編纂所の谷昭佳氏と日本大学芸術学部教授の高橋則英氏より、撮影者が特定できた理由やその意義、背景となる写真史などについて詳しくお話しいただきました。


(写真2:報告風景)

土佐出身の漁師・万次郎は出漁中に遭難、アメリカの捕鯨船に助けられて、約10年にわたりアメリカに滞在しました。この間に語学だけでなく、航海術を始めとする様々な西洋知識を身につけたことはよく知られています。
しかし最近の研究で、実は万次郎は「最初に本格的な写真活動を行った日本人」でもあったことが分かってきました。
それはつまり、西洋の知識を勉強した学者達が科学実験のように撮る写真とはちがい、万次郎は知人・友人や家族の姿を「記念に」撮ってあげたということ。
当時のアメリカ・ヨーロッパでは当たり前になっていた写真文化が日本に根付く、その出発点に万次郎がいるというわけです。

万次郎の撮影した写真は「コロジオン湿板法」というガラス板写真の一種で、ガラス板に薬剤を塗り、それが乾かないうちに撮影~現像までの一連の作業を済ませるという、とても難しい写真技術です。
そしてその画像が写ったガラス板を、そのまま鑑賞できるように処理してケースに納めたのが、東洋の写真です。(このような写真を、「アンブロタイプ」といいます)
万次郎はこの時の方法が独特なので、それが今回の撮影者特定の決め手となりました。

万次郎はお金をもらって撮っていないので、プロの「写真師」とは言えないのですが、坂本龍馬らを撮った日本人初の写真師・上野彦馬も本格的な活動を始める以前のこと。
当時の日本人でこんなに上手く撮れる人は他にいないんだそうです。
たしかに写真自体は縦約11センチ、名刺よりも少し大きいぐらいの小さなものですが、じっくり見ればみるほど、細かい所まできれいに映っているのが分かります。

写真には油絵の額縁のような楕円形の金属フレームがつき、さらに革張りの小箱に納められていて、今の私たちでもうらやましくなるような仕上がりです。
吉田東洋もきっと、これを見て喜んだことでしょう!
保存状態もよく、これが150年も前に撮られたなんて!と驚きます。
みなさんもきっと、東洋と同じ感動を味わえると思いますよ。

この資料は資料館の展示室で、3月31日まで公開しています。
4月1日からは資料館展示室全体が閉室となりますので、次の公開は当分ありません。
この機会に、ぜひ、その目でお確かめください!

(投稿者:M)

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