文化財講座 第1回「文化財保護制度の歩みとしくみ」

本年度の文化財講座のテーマは、「文化財保護のしくみ」です。高知県には、美術工芸品や建造物から伝統芸能に至るまで、たくさんの文化財が残されているわけですが、これらを守るために、具体的にどのような制度があり、取り組みが行われているのかについては、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。

そこで、当講座では、日本の文化財保護の歩みを振り返りながら、現在、国や高知県、市町村がどのようなしくみのもとで文化財を守り、これから守ろうとしているのかを、全4回シリーズで紹介していきたいと思います。

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その第1回目が、6月14日(土)、「文化財保護制度の歩みとしくみ」と題して、文化庁文化財部美術学芸課の朝賀浩先生を講師にお招きし、行われました。

最初、「文化財」とは何かについて、文化財保護法をわかりやすく読み解きながら、保護法が示している「文化財」の対象とそれらを保存することの意義について、これまでのご経験を踏まえながらお話しがありました。その上で、日本の文化財保護制度が、明治から今日まで、どのような変遷をたどって展開してきたのかについて紹介があり、時代の社会状況や人々の価値観の変化によって、その都度、保護制度が見直され、充実が図られてきたということがわかりました。

近年では、美術工芸品や建造物、民俗文化財や記念物などの他に、例えば、「文化的景観」として棚田や里山といった地域活動の中で形成された景観も文化財の対象になるなど、守るべき文化財の分野が拡大しているとのことです。加えて、文化財そのものを保護するだけでは、後世に残していくのは難しく、文化財を保存し、修理するための伝統技術も守っていく必要があるとのこと、そのために国では「選定保存技術」として、消えようとしている伝統技術に対しては重点的に保護しているとのことで、文化財の保護、活用、そして保存修理までを総体的に考えることが大切であるということをお話しになりました。

高知県には、国の指定を受けた文化財が現在146件あります。参加者の皆さんは、今回の講座をとおして、国の文化財保護制度の目的やその仕組みを体系的に学べたことで、高知県にある様々な分野の国指定文化財が、日本の中でどのような意義や価値をもっているものかを改めて理解することができ、地元の文化財を見つめ直すきっかけになったようでした。

次回講座は、10月11日(土)、「高知県の文化財保護の取り組み」と題して、高知県の視点から文化財保護についてご紹介します。

(投稿者:T)

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