竹林寺文化財の科学調査~1/28 報道発表を行いました~

今年度、当館では、高知市五台山にある竹林寺(四国霊場第31番札所)の文化財について、エックス線を用いた科学調査を実施しています。

調査は、当館が事務局となり、当館と竹林寺高知大学総合教育センターの3者の合同で、昨年の10月から実施しています(現在も継続中です)。

今年度調査しているのは、仏像(阿弥陀如来像)と仏画(涅槃図、両界曼荼羅図)の3件です。
今回の調査では、蛍光エックス線と透過エックス線を用いた科学調査を実施しています。

この内、今回は、主に阿弥陀如来像に関する科学調査の成果を報道発表しました。

Photo
竹林寺客殿での報道発表の様子

この阿弥陀如来像は、土佐藩の2代藩主山内忠義の夫人(阿姫[くまひめ]、徳川家康の長女)が、養父家康の菩提を弔うために、竹林寺に寄進したという伝承を持つものです。
また、竹林寺にある阿姫が阿弥陀如来像を寄進した際の古文書には、仏像の体内に、家康の菩提を弔うため、ならびに山内家一門の繁栄を願うために、仏像を寄進する旨の「裏書(うらがき)」をしたためたと書かれているものがありました。

そこで、当館では、竹林寺での言い伝えと、古文書の記述を確認するべく、竹林寺の許可を得て、この阿弥陀如来像の科学調査を実施する準備を進めました。

実施にあたっては、文化財の科学調査を専門とされている高知大学総合教育センターの松島朝秀先生にご協力いただき、同大学の博物館学芸員課程の履修学生も参加する形で、合同して調査を行いました。

その結果、なんと、透過エックス線撮影の画像からは、仏像の胸部から腹部・脚部にかけての広範囲にわたり、文字が書かれていることが判明しました。
文字はそれほど崩されていない字形で、約1cm前後の大きさで書かれているようであります。

そして、さらに驚いたことに、徳川家康の法名の一部と思われる「大相国一品(だいしょうこくいっぽん)」という文字、それに「元八口戌松平土左守忠義」という元和8年(1622、壬戌の年)の寄進と考えられる文字と、阿姫の夫である2第藩主忠義の名前が確認されました。

 

Photo_2
体内から裏書が発見された阿弥陀如来立像

これらの情報とその他の関係資料から、この阿弥陀如来像が阿姫によって寄進された仏像であること、同時に、この阿弥陀如来像が徳川家康の菩提を弔うために寄進された仏像であること、以上の2点が確認されました。

今回の裏書発見には、関係者一同大いに驚いているところです。

お寺さんでの言い伝えと古文書の記述が、科学技術によって証明されたことになります。
江戸時代の竹林寺について、あるいは徳川将軍家と山内家の関係について考える上で、大きな発見となりました。

この阿弥陀如来像の科学調査をはじめ、今年度実施している竹林寺での科学調査の内容や方法については、今週土曜日(2月1日)の当館の文化財講座でご紹介します。
講師は、今回の阿弥陀如来像のエックス線撮影を行われた高知大学の松島先生です。
事前のお申し込みは不要です。参加費も無料です。
興味深いお話が聞けることと思いますので、皆様ぜひご参加ください。

また、平成22年度から当館が実施してきました竹林寺文化財の調査成果、ならびに今年度の科学調査の成果については、3月14日(金)から当館で開催する特設展「文殊の御寺 竹林寺展」でその内容を展示、紹介します。

こちらもぜひご観覧ください。

(投稿者:K)

カテゴリー: ニュース   パーマリンク

コメントは受け付けていません。