日本の文化講座 第2回「小袖に見る文芸模様」

9月1日(土)に日本の文化講座第2回目が行われました。

テーマは「小袖に見る文芸模様」。
講師は7月の第1回目に引き続き、関西学院大学教授の河上繁樹先生に務めていただきました。

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文芸模様とは、『平家物語』や『源氏物語』などの古典文学に出てくる名所や場面をあらわしたデザインのことで、桃山時代から江戸時代初期の小袖にみられる文様です。なかでも『伊勢物語』と『源氏物語』は人気が高かったようで、人気の小袖模様を集めた小袖雛形本にそれぞれを題材とした模様が掲載されています。

小袖のデザインも現在のファッションと同じで年代によって流行り廃りがあったようですが、そんな中で変わらず人気があったのが、人物を描かずに物語のある場面を象徴的なモチーフであらわした留守模様です。
例えば、貞享4年(1685)に刊行された『源氏ひなかた』には、源氏物語「若菜」の帖にもとづく物語から「女三の宮の模様」と題したデザインが収録されています。
「若菜」の帖は、女三の宮が庭の蹴鞠を見ようとして御簾の側に寄ったとき、唐猫のいたずらで御簾が上がり、彼女を垣間見た柏木が恋心を募らせるというお話です。そこから下の図のように巻き上がる御簾と『源氏物語』の冊子がデザインされています。
この他、「二条の后の模様」と題した「菊の露の模様」の図など、『伊勢物語』にもとづく模様もいくつか『源氏ひなかた』には掲載されています。

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こう見ると、まるで現在のファッション雑誌のような印象も受けますが、『源氏ひなかた』に関しては単なる模様集ではなく、下の図のように物語の1場面が入っており、読みものとしても楽しめるようになっていました。

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もともと物語と美術は結びつきやすいもので、早くから『源氏物語』や『伊勢物語』は絵画化されていましたが、後に工芸品のデザインにも使われるようになります。
当時の日本人にとって文学は、小袖を含むその他の工芸品にも文学の香りを求めるほど身近なものであり、親しみを持っていたことが分かりました。

次回は、11月3日「染め体験(実習)」です。日本の伝統色で小物を染める体験を行います。詳しくは資料館までお問い合わせ下さい。

(投稿者:M)

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