特設展「輝く文字・金泥書 古代書法の復元~福島久幸氏資料寄贈記念~」展

当館では特設展「輝く文字・金泥書 古代書法の復元~福島久幸氏資料寄贈記念~」展を開催しています。
1000年の時を超えてもなお輝き続ける金色の文字、金泥書。長い間失われていたこの書法を復元したのが高知県出身の研究家福島久幸氏です。

Photo福島久幸筆「金光明経(こんこうみょうきょう)」

国宝「紫紙金字金明最勝王経」。福島氏はこの金字経と出会って以来25年間、金泥書の復元研究を続けてこられました。濃度の調整を要する金泥作り、紙の材料選びや和紙作り、文字が輝くために必要な加工技術(文字と紙を磨く)など研究内容は多岐にわたります。それら研究は電子顕微鏡を使用した対照実験と各分野の専門家との共同によって行われ、1200年前の失われた技法を現代によみがえらせました。

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(磨いた後)
電子顕微鏡写真 磨く前後の金泥書表面

この技法と書家としての確かな技術をもってこれまで多くの金泥書の作品を残されてきた福島氏は、90歳を前に作品と研究資料を故郷である高知に残したい、また、確実に保存管理できる施設に作品を委ねたいという思いがあったそうです。当館には保存担当学芸員が在職していること、また国宝高野切にちなむ書道講座を開講していることから、保存・活用に関して合意し、今春、金泥書などの書の作品が約500点、電子顕微鏡写真や実験記録などの研究資料・著作約100点が寄贈されました。
寄贈にあたっては、その経緯や寄贈資料の概要などを公表するため、福島氏同席のもと記者発表会を行いました。

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記者発表会の様子(24/5/10)

その中で福島氏は、1200年前の技法で復元した作品がこの先1200年光り続けるのかを確かめるため、またこの先金泥書を研究する人のために、資料を後世に残したいと話されていました。
この思いを実現するために、当館は寄贈された作品・研究資料を確実に保存し継承していかなければなりません。そして、福島氏の意義深い研究と美しい作品を広く知っていただきたく、寄贈を記念した展覧会を開催する運びとなりました。

特設展「輝く文字・金泥書 古代書法の復元」展は、寄贈された作品・研究資料と福島氏の歩みを紹介しています。

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展示品のひとつに金泥経(金泥で書かれた写経)があり、これを例にして金泥書ができるまでを紹介しています。ここでは、過去の通説や先行研究と福島氏の手法をパネルで見比べることができ、金泥書の作り方がわかると同時に、過去のわずかな手がかりから実証実験を重ね製作方法を見出だした福島氏の業績を知ることができます。

金泥経のほかにも、源氏物語、万葉集、植物学書などの作品を展示しており、その1枚1枚は金色や銀色の文字と様々な染め方をした紙の組み合わせで展開され、美しい文字と紙の構成は見る者の目を楽しませてくれます。また紙を擦るなどの加工も施されていて、紙と金泥の相性をみるための研究が全ての作品に含まれています。

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そういった紙と金泥に関する研究内容を紹介するコーナーでは、原料による紙質の違いや加工による紙質の変化を実際にさわって確かめることができ、また文字を磨くか否かで光り具合が異なることを間近で確認することができます。
展示全体を通じて福島氏の金泥書への探求心が伝わってくることも見所のひとつです。

特設展「輝く文字・金泥書 古代書法の復元~福島久幸氏資料寄贈記念~」展は、平成24年7月9日(月)まで開催しております。福島氏の美しい作品と探求の日々を是非展示室でご覧ください。 

(投稿者T)

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